About

タシロサトミ/田代聡美/Tashiro Satomi

1975 東京都生まれ
2014 武蔵野美術大学造形学部通信教育課程油絵学科卒業


[ステイトメント]
 私の興味は、自分と世界がどのように関わったのかにあります。最初に意識したのは自分の肌と直接触れ合う距離にある日用品との関係でした。
 美大卒業後まず取り組んだのは「used」(古着、使い古した)シリーズで、どのように扱ったのかを記憶する、鞄のヘタレ具合を表す輪郭線や、洗濯のたびに色あせて少し毛羽立つ衣服の質感の変化に、魅力を感じていました。私の作品画面上にある破線は、補修の縫い目であり、変化の痕跡であり、馴染むことで消えていく境界線です。
 同じテーマで枚数を重ね50枚を超えた頃には、古着というフィルターの先にあるものに向き合わざるを得なくなり、より核心に近い表現として「relationship」(関係性)と題するようになりました。どのような物語が展開されたのかの記録が「used」で、見ているのは「relationship」です。
 そして興味の対象は、人間どうしの関わりを含んだものへと広がっていきました。私たちは目の前の人物とどのような関係を結び、いかに干渉しあったかによって、自分の役割を理解し、行動を規定します。自分の輪郭線を定義するのは、つまるところ他者との関係性であると考えます。私は自分と世界の境界線上でおきた様々な出来事について思いを巡らせ、毎日変化する両者のせめぎ合いを作品にします。

 「あなたの作品は、地図に見える」と言われることがあります。破線が国境に見えるのです。私は、国境とは陣取り合戦の痕跡だと考えています。それは国と国がどのように関わったのかを表現する線であり、私はそこにも「relationship」を見出します。地図に見えるのは、同じものを描いているからでしょう。
 新品の靴は、靴擦れをおこし踵を傷だらけにするかもしれません。それでも工夫しながら我慢して、しばらく履いていると形状は変化し、足の傷は治り、いずれは快適な1足となる可能性があります。そんな極めて日常的な、ささやかな出来事を見つめた先にあった世界地図との相似性は、一種のフラクタル図形として非常に面白いと感じます。
 そこにあるあまりにも大きな縮尺の差と、抽象という表現のもつ広がりの豊かさに目眩がするような感動を覚えつつ、制作しています。


[主な個展]
ギャラリーマルキーズ(愛知・名古屋、2021)
ギャラリーQ(東京・銀座、2016,2017,2018,2020)
FAL(東京・武蔵野美術大学鷹の台キャンパス、2019)
space2*3/KURUM’ART contemporary(東京・日本橋、2019)
605画廊(東京・六本木、2017)

[主なグループ展]
2021年「桃の節句 ひいな遊び」美の起原(東京・銀座)
「The 16th TAGBOAT AWARD」ヒカリエ8/ CUBE1,2,3(東京・渋谷)
2020年「NAU21世紀美術連立展 奨励賞受賞作家企画展」国立新美術館(東京・六本木)
「女子力展」石川画廊(東京・銀座)
2019年「未来抽象芸術展vol.14」Space ZERO(東京・新宿)、せんだいメディアテーク(宮城・仙台)、福岡アジア美術館(福岡)
2017-19年「NAU21世紀美術連立展」国立新美術館(東京・六本木)
2018年「未来抽象芸術展vol.13」Space ZERO(東京・新宿)
「非思量 日中現代アート対話展」中国文化センター(東京・虎ノ門)
2017年「TAMAVIVANTⅡ2017 ポガティブ」 アートテーク・ギャラリー(東京・多摩美術大学八王子キャンパス)
2016年「第12回三井不動産商業マネジメント・オフィース・エクスビション」三井不動産商業マネジメント(東京・日本橋)
2014-16年「独立展」国立新美術館(東京・六本木)

[受賞歴]
2019「第17回NAU21世紀美術連立展」奨励賞受賞
2018「Independent TOKYO2018 」審査員特別賞(審査員 井浦歳和氏)

[メディア出演等]
2019.9.1開催  ムサ美埼玉2019記念フォーラム「アートとくらし」パネリスト(埼玉県立近代美術館)
2018.2.25放送 テレビ朝日「真夜中のプリンス」出演
2017.7 月号 美術手帖【ギャラリストに聞く】galleryQ上田雄三インタビューにて、タシロサトミ展が紹介されています